量子場師yoshiiyのスピログ

量子場師でありライトワーカーyoshiiyの備忘録的なblog

「世の中ががらりと変わって見える物理の本」☆本のご紹介 vol.1

 

f:id:yoshiiy:20201005104300j:plain


blogへのご訪問ありがとうございます、量子場師でありライトワーカーyoshiiyです。  

 

 

今日は”物理”とか”量子力学”とかについて、

とても分かりやすく読めちゃう、わたくしのオススメ本のご紹介です!

 

「最近話題の量子力学とか、ちょっと興味はあるけど難しいんじゃない?

物理とか、数学とか、そもそもが嫌いだし」

って思う方、大丈夫です!

 

わたしが読めちゃってますから笑

 

 

f:id:yoshiiy:20201005104427j:plain

 

こちらの本との出会いは、わたしが量子場師になる前、

 

「量子について分かりやすく書いてる本ないかなぁ〜」と思い、ある日の某書店にて、ふんわり探していた時に出逢いました。

 

(わたしの場合、だいたい本を選ぶときは「わたしの今読むべき本はどの子?」って聞くんですよ。

すると、パッと視線が止まった所にいたり、上から何段目の左から3番目〜と教えてくれたりします)

 

手にとってパラっと見たら「あ、読みやすそぉ〜」まずそんな感じでした。

実際120ページですので、2日くらいで読めちゃいます。

 

 

「世の中ががらりと変わって見える物理の本」

  

 

世の中ががらりと変わって見える物理の本

世の中ががらりと変わって見える物理の本

 

 

基本情報

発売日:2015年11月20日

著者:カルロ・ロヴェッリ

監修:竹内薫 訳:関口英子

出版社:河出書房

 

 

2014年にイタリアで発刊され「科学書」のカテゴリーではなく一般書含めた「総合ランキング」入りし、1年未満で30万部の大ヒット、非常に話題になった本のようです。

世界で約20ヶ国で版権が取得され、日本では初版は2015年末に刊行されました。

 

ちなみにわたしが出会ったのは2019年夏ごろでした。

 

 

 Amazonレヴュー&評価

 カスタマーレヴュー評価

★★★★☆ 星5中の4.3

 

 

著者:カルロ・ロヴェッリ

1956年、イタリアのヴェローナ生まれ。

 

ボローニャ大学で物理学を専攻、パドヴァ大学の大学院に進む。その後、ローマ大学や米国のイェール大学、イタリアのトレント大学などを経て、米国のピッツバーグ大学で教鞭をとる。現在は、フランスのエクス=マルセイユ大学の理論物理学研究室で、量子重力理論の研究チームを率いている。

専門は《ループ量子重力理論》この分野の第一人者。理論物理学の最先端を行くと同時に、科学史や哲学にも詳しく、複雑な理論をわかりやすく解説するセンスには定評がある。

 

元ヒッピーで社会運動に身を投じた末に、物理学を通して社会と関わることを決意し、その両方の根にあるのは「世界の新しい見方を提示する」という理論の独創性が、いま彼が世界から注目される理由の一つ。

 

 

本編概要

本作はロヴェッリ氏が「講義」をするという形式で、第1講義から最終講義までの全7部構成になってます。

 

アインシュタイン相対性理論からはじまり、量子、量子は粒、素粒子、 宇宙について、そして自身の「ループ量子重力理論」の予想理論へとつづき、宇宙のビックバンまで。

最終講義では「わたしたち人間とは、自然の法則とは、自由とは、愛とは」と、哲学的見解まで。

 

**************

 

以下

Contents

 

第1回講義 世界でいちばん美しい理論

 アインシュタインの「一般相対性理論」”重力場こそが空間そのもの”重力の理論。

空間と時間の関係、宇宙は爆発とともに誕生し、時間は惑星に近づくほどゆっくりと流れ、はてしなく続く星間空間は海面のように波立っている…と。

 

第2回講義 量子という信じられない世界

 アインシュタインの「光量子仮説」で”光は粒でできている”との考察から量子について。アインシュタインVSボーア、量子論的にみた「光の箱」思考実験について。

 

第3回講義 塗りかえられる宇宙の構造

 宇宙観の歴史、新しい宇宙の発見。宇宙は大きく成長している。

 

第4回講義 不安定で落ち着きがない粒子

 波立ち揺らぐ素量子たち、この世界は、物質が不安定な状態でつねに揺らいでいる。銀河の外側にはさらになんだかわからない「暗黒物質」が存在する。

 

第5回講義 粒でできている宇宙

 「一般相対性理論」と「量子力学」の矛盾を統合する「ループ量子重力理論」の打ち出し。空間とは連続的でなめらかなものでも、無限に分割できるものでもなく「空間の原子」によって作られている、かも。ビックバンとは。

 

第6回講義 時間の流れを生む熱

 「熱とは何か」の考察から「時間の流れとは何か」と。時間の流れを解く鍵は”熱”とし、ブラックホールの熱発生を予言したホーキングの考察について。

 

終講義 自由と好奇心をもつ人間

 宇宙と人間との関わり、人間の脳と物理学について。

私たち人間の自由選択意思から人間の精神性について。

 

 

個人的感想もろもろ

 

f:id:yoshiiy:20201007084239j:plain

 

まず、とても読みやすいのです!

 

これは多くの読者の感想にもありますが、いわゆる物理学解説本のような文体でまとめられていません。

(そもそもそのような本を読んでもいませんが)

 

アインシュタインの時間と空間、重力の話から、量子力学、宇宙の話になり、そして古代の哲学者からの文言を引用し、そもそもの人間存在意味について、自然の法則、愛について、の私的な見解を含めてまとめています。

 

歴代の物理学者の有名な理論がポンポン出てきますが、その部分は軽く流して読んでしまっても、とりあえず大丈夫です。

 

各偉大な物理学者のそれぞれのロジックの要点を、ロヴェッリ氏が軽く軽快に、軽妙に、物事を別の事柄に置き換えて、全く物理の知識がない人に向けて、分かりやすく語りかけてくれています。

 

なので、自然と意味する理論概要が伝わってきます。

 

そして、とても分かりやすい流れの和訳文体も非常に繊細で魅力的です!

もともとの原書がそのようだからこそでしょうか。

 

著者の人間性、思考が非常に柔らかく、とても柔軟性に富みユーモアさえ感じます。

 

この点が、世界各国で一般書扱いで読まれている、という点かと思います。

 

 

 この本ならではのpoint

 

「第5回講義 粒でできている宇宙」です。

 

著者ロヴェッリ氏の専門の「ループ量子重力理論」に触れる内容部分です。

まだまだ立証されていない理論ですので”予言”と称し、語っていきます。

 

ループ量子重力理論とは一般相対性理論量子力学を統合しようと試みるひとつとし、

 

ループ量子重力理論によるおもな予言は、空間とは、連続的でなめらかなものでも、無限に分割できるものでもなく、「空間の原子」ともいえる粒によってつくられているというものです。p.69

 

空間は、それぞれの重力の量子の相互作用によってつくりだされています。ここでもまた、世界は物体からできているというよりも、関係性からできているように思われます。p.70

 

 

そしてループ量子重力理論は、根本的な「時間」の概念を持たないとし、その方程式をもちいると、宇宙の起源、宇宙の歴史をさかのぼることができる、としています。

 

この辺りは面白いんですが、ちょっと難しい… 

 

「世界は物体からできているというよりも、関係性からできている」

 

この見解、個人的にかなり好きです。

 

 

f:id:yoshiiy:20201007084859j:plain

 

 最終章:物理学から愛を語る

 

わたしが個人的に好きな章は「最終章 自由と好奇心をもつ人間」です。

 

最終章では非常に哲学的見解、メッセージを唱え、人間の持つ自由意思、好奇心によって自然が、世界が、宇宙が存在しているように在る、としています。

 

 

世界が、無数のはかなく揺れる量子からなる空間と物質でできており、空間と素粒子の果てしない組み合わせなのだとしたら、私たち人間とはいったいどのような存在なのでしょう。私たちもまた、量子や素粒子で作られているのでしょうか。p.99

 

 

との提示から、

人間の持つ「意思」「自由」について哲学的な疑問を投げかけていきます。

 

彼の見解で非常に共感する部分をいくつか引用します。

 

 

私たちを形づくっているものの何ひとつとして、自然の法則に従わないものはありません。もしも自然の法則に従わないものが私たちの内部にあるとしたら、人間はかなり以前にそれに気づいているはずです。私たちの内部には、物質の自然なふるまいに背くものは何にとつとしてありません。

p.108

 

 

「自由」を求める人間心理について、

全てが自然の法則によって従っている、そうでないならば、人類は以前に知っている、と。

私たちの感じる”自由意志”とは自由に選択しているというのではなく、自然の法則に沿って脳が選択していること、と。

 

 

さらに、古代ローマの哲学者 ルクレティウスの素敵な詩を引用しています。

 

私たちは皆、天空の原子から生まれた。

万物が共通の父を持ち、

私たちを育む母なる大地は、その天空から

雨という澄んだ滴を受けとり、

光り輝く小麦や、豊かな木々を育て、

人類という種や、獣の子孫たちを育み、

万物の身を培う食べものを提供する。

甘美な生を送り、子孫を産んでいく。p.117

 

 

紀元前にすでに原子論を唱えていたんですね、素敵です。

そしてそんなルクレティウスの詩を引用するロヴェッリ氏が素敵すぎです。

 

氏いわく、

自然こそが私たちの家、私たちにとって自然の中にいることが家にいること。

私たち人間が、愛し誠実でいるのは自然の姿、

より多くのものごとを知りたい学びたいと願い、学び続けるのもまた自然の姿、と…

 

 

私たち人間がわかっていることの周囲には、大海のようにひろがる、まだ解き明かされていないことと境を接しながら、謎めいた美しい世界が光り輝いています。その姿に私たちは、息をするのを忘れて見惚れてしまうのです。p.118

 

…とても人間的、かつ誌的な、ロヴェッリ氏の愛ある言葉。

 

 

全編を通し、その問いかけは非常にユーモアで繊細、そして過去の偉大な物理学者や科学者、哲学者たちに対する愛とオマージュにあふれています。

 

物理、量子力学の本と思い読み進めていくと、最後は人類の終焉の風景を予想し憂い、哲学的な内容を絡めながら、人間の存在理由、意義について触れていきます。

 

そして愛のあるメッセージを、宇宙やすべてのものに対し、投げかけていきます。

 

読後感は、なぜか爽やかな、目の前の視界が無意識に広がる、そんな気分になる本です。

 

 

 

 

ご興味があれば一読を♪ 

 

 *********

 

世の中ががらりと変わって見える物理の本